ニッカ仙台

ニッカウヰスキー株式会社の創業者の竹鶴政孝さんは、昭和9年「大日本果汁株式会社」を設立しました。ウイスキーが出荷できるまでの間、リンゴジュースを作って、生計をつないだそうです。昭和27年、大日本果汁から、ニッカウヰスキーと社名変更しました。
醗酵までは、ウイスキーとビールは似たような製法です。しかし、蒸溜・熟成することが、醸造酒であるビールと、蒸溜酒であるウイスキーとの大きな違いです。水の沸点が100℃で、アルコールの沸点は約78℃です。この沸点の差を利用し、アルコール分だけを蒸発させ、取り出すことができます。これを蒸溜と言います。蒸溜器の大きさや形、熱の掛け方で、味や香りが変わってくるそうです。実際に、円錐形の余市工場のポットスチルと、ひょうたん型の仙台工場のポットスチルとでは、味や香りに違いが出るそうです。
モルトウイスキーのアルコール分は、醗酵過程で7～8%。1回目の蒸溜で20%ぐらい、2回目で70%ぐらいになります。グレーンウイスキーの蒸溜液は、アルコール分90～95％で、これをを水で薄めて樽に詰めます。
ウイスキー工場は、可燃性のある高濃度アルコールを生産するため、危険物取扱工場に指定されています。それにより、工場見学できないエリアがあります。
樽に詰めたウイスキーは、熟成中に、1割ぐらい蒸発します。これを「エンジェルシェア（天使の分け前）」といいます。

1.原料（製麦）	2.乾燥	3.糖化	4.醗酵	5.蒸溜	6.熟成

大粒で良質な大麦を、発行させ大麦麦芽（モルト）をつくります。	キルン塔でピートを燃やし、麦芽を乾燥。この過程でモルトウイスキー独特のスモーキー・フレーバーがつきます。 *ピート=ヨシ・スゲなどの水辺植物が堆積して炭化したもの（泥炭）	粉砕した麦芽に温水を加え、麦芽に含まれる酵素を働かせてでんぷんを甘い麦汁に変えます。	麦汁に酵母を加え糖をアルコールに変えます。	ポットスチルでアルコールを取り出します。蒸溜は2回行われ、こうして生まれたウイスキーは無色透明です。	オーク材の樽に詰めます。長期間寝かせることにより、豊かな香味と琥珀色を身につけます。

グレーンウイスキーができるまで
（仙台宮城峡蒸留所）

1.原料	2.蒸煮	3.糖化	4.醗酵	5.蒸溜	6.熟成

グレーンウイスキーの原料はとうもろこしと麦芽を使います。	粉砕したとうもろこしを蒸します。	別の工程で発芽・乾燥・粉砕した麦芽を混ぜ、温水を加え糖化液をつくります。	糖化液に酵母を加え糖をアルコールに変えます。	カフェスチルでアルコールを取り出します。ニッカではグレーンウイスキーの味わいを高めるため、世界的にも希少なカフェ式と呼ばれる蒸留機を使っています。	ウイスキーの香味成分をおいしさに変えるため、オーク材の樽に詰め熟成を行います。

7.ブレンド	8.再貯蔵（マリッジ）	9.ビン詰め

ブレンダーの研ぎすまされた感覚で、モルトウイスキーとカフェグレーンウイスキーをブレンドします。香味バランスのとれたウイスキーに仕上げます。	ブレンドしたウイスキーをなじませ、味わいを高めるため、再度樽に詰め寝かせます。	ビン詰めされてブレンデッドウイスキーが完成します。


この工場で最も多くの面積を占めているのが、貯蔵庫です。これら貯蔵庫が、22棟ほどあるようです。	貯蔵庫の中です。大きい樽が500L/ボトル約600本分、小さい樽が、250L/ボトル約300本分です。もし、1ヶ月にボトル1本ずつ飲むとすると、大きい樽を空にする、50年かかことになります。	左から、サイロ、ミル棟、醸造棟、キルン棟、蒸溜棟（カフェスチル）、他にも、副産物処理棟、開俵棟、仕込棟、パワー棟、蒸溜棟（ポットスチル）、混和棟、ビン詰棟、などの建物が建っています。


ここはウイスキーの試飲コーナーです。お酒を飲めない人には、ソフトドリンクもあります。	貯蔵時間の違いによる、ウイスキーの香りの違いを体感できます。左から、未貯蔵、5年、10年、15年、20年、25年です。貯蔵時間が長い方が、良い香りがしました。	施設内の赤レンガという名前のレストランでジンギスカンを食べました。

仙台宮城峡蒸溜所限定ウイスキーを買いました。
未貯蔵のウイスキーは無色ですが、
樽に詰めて、熟成することで、独特の色と香りがついてきます。
このシングルカスクウイスキーは、厳選された
一つの樽の原酒だけを使い、1滴の水も加えられていません。
一般に市販されているウイスキーより、アルコール分が多いです。


シングル　モルトウイスキー　未貯蔵樽番号：--- アルコール分：63% 原材料：モルト	シングルカスク　モルトウイスキー　10年樽番号：83886 アルコール分：66% 原材料：モルト

制御室	検査室

伝統的な製法を守りながらも、近代的な方法で管理されています。